びしゃもん子ねこ物語



        びしゃもん子ねこ物語


   むかし、むかし緑井の里に「はな」と言う大層お母さん思いの娘が居ました。
  お父さんを早く亡くして親子二人で暮して居ましたが、評判の器量良しで心の優しい
  信心深い娘でした。お母さんは体が弱いので「はな」はなにやかやと母の世話をしながら
  少ない畠を耕して暮らしていましたある年の初寅の日に、「はな」に心をよせて居る長者の
  息子「清助」が「はな」を誘って毘沙門天にお参りしようと声をかけるが、「はな」は母の世話
  で出かけられないと断ると、清助は『私が福を授かって来てあげる』とお参りする。

  何にするか迷っていると笹薮の中から子ねこの声がするので見ると3匹の子ねこが居る。
  清助は子ねこを大切に袋の中に入れ「福を貰って来たので大事にしてや」と「はな」に渡す。
  「はな」は大事に大事にとおひつの中にしまっていたが後日開いて見るとキラキラ光る大判
  三枚が出て来た。うわさはたちまち広まり長者は息子に問いただしたが、息子は子ねこを
  三匹渡しただけだと言うので『これは毘沙門天が「はな」に福を授けたのだ』と「はな」
  信仰心に感心し、「はな」を息子の嫁に迎え二人は幸せに暮したと言うお話

  この話は、広島市立安西小学校PTA編『語りつぎたい郷土のはなし』より引用させて
  頂いたものです。
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