2025年6月14日(土)、佐伯区役所別館6階の大会議室にて「第2回 海老山公園の再整備に向けたワークショップ」が開催されました。前回のワークショップでは自由なアイデアを出し合うブレインストーミング形式でしたが、今回はその意見をもとに作成された「海老山公園再整備基本計画(案)」をベースに、より現実的で具体的な整備内容について議論しました。
以下は、当日の意見交換で出たお話を参加者の目線でレポートしたものです。
海老山公園再整備基本計画図(案)
(北側:入口~公園、中央:駐車場および多目的広場、南側:山自然ゾーン)
議論に先立ち、高低差のある海老山の地形制約からスロープ(斜路)設置は困難であると行政からの説明があり、バリアフリー法に基づく階段整備が中心となる方針です。
今回のワークショップでは「地元民としてどのような活用ができるか」をテーマに、図案設備が「本当に必要か?」考えながら、周辺施設との役割分担や利用シーンをイメージして「交流・憩い・遊び」「歴史・自然・学び」「防災」の3つの視点で意見を交わしました。
◆ A・B班:交流・憩い・遊び
・高低差を活かした「市内最長ローラー滑り台」など、目を引く仕掛けによる来園促進
・常設ステージやハーフコートなど、イベント対応を見据えたハード整備
・備品倉庫の2階建て化による集会所機能の代替提案
・ARや外国語対応、ネット予約システムなど、利便性・多様性に対応した仕組みづくり
・駅からのアクセス整備や駐輪場、防犯カメラ、自販機、AEDなど実務的課題への対応
・BBQは申込制・有料化などでの実施可否を含めた現実的運用ルールの議論
全体の方向性:
「多世代が安心して交流できる場」を目指し、実行可能性に配慮した意見が多く見られました。利便性や管理体制の整備に重点が置かれ、スマートな運用や多様なニーズへの配慮が随所に見られ、時代に合った公園のあり方を模索する姿勢が印象的です。
◆C班:歴史・自然・学び
・海老山の歴史や自然を伝える説明板の設置に加え、既存モニュメントの解説も充実させたい
・学校授業での利用を想定し、救護スペースや動画教材の活用、足下灯など安全面への配慮も提案
・「歴史展示解説」を視野に入れた270度パノラマ眺望や、海老山城の復元構想、整地による地域資源の再発掘
・防災教育の視点から「危険生物や有毒植物の知識・対処法」や「かまどベンチの使い方」など、体験型学習を重視
全体の方向性:
自然や歴史を「体験から学ぶ」場として公園を活用したいという提案が並びました。景観を損なわない空間設計や、教育・防災の両面における実用性を意識した内容が多く「訪れること自体が学びになる場」を目指す姿勢が印象的でした。

提供:五日市西国街道散策倶楽部

撮影:HP管理者(2025年4月)
佐伯区に伝わる「あまんじゃく伝説」ほか地域の歴史(海老園歴史資料.pdf)
提供:五日市西国街道散策倶楽部
◆ D班:防災
・トイレの数・規模の拡充や、マンホールトイレ、貯水槽、かまどベンチなど、災害時の基盤設備の整備
・鍋・やかん・薪・テントなど一時避難用備品の備蓄や、遊具ゾーンの昇降手段の代替提案
・非常時を想定した多目的広場への車両乗り入れ、駐車場のゲート施錠や開放対応など、緊急時の車両運用体制の検討
・町内会との連携や、花見時期の駐車場整理・アルバイト活用など、地域との協働による維持管理体制の提案
・手すり設置や歩車分離、防犯カメラの整備(ダミー含む)、車止めの管理など日常利用時の安全対策への配慮
全体の方向性:
「実際に使える防災公園」に向けた具体性の高い提案が多く、トイレ・水・火・避難用品といった基本インフラに加え、災害時の運用や維持管理まで視野に入れた実践的な視点が特徴的でした。地域と連携した防災拠点としての機能を重視し、信頼される“いざという時の居場所”づくりに真剣な姿勢が伺えました。
これからの流れ
今後は2025年夏を目標に海老山公園再整備基本計画が策定される予定です。計画はそのまま工事着手につながるため「現実と理想をすり合わせる」議論が重要になります。第1回が“期待”を語る場だったとすれば、今回はその想いをどう“かたち”にするかを探る場でした。整備に向けた動きが本格化していく中で、住民の声をもとに計画はより現実的な方向へと歩みを進めています。今後「海老山公園再整備協議会」は「海老山公園維持管理運営協議会」に移行し、維持管理手法や運営方法などを協議することになります。行政と地域住民が協議しながら事業を進める中で、地域の声がどのように反映されていくのか、引き続き注目していきたいと思います。
広島市佐伯区 農林建設部 維持管理課発行「ワークショップだより」など、海老山公園再整備に関する情報は下記をご参照ください。
<外部リンク>
広島市>佐伯区>まちづくりに関する施策・計画>海老山公園の再整備に向けたワークショップ
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